不動産担保融資への傾倒を金融庁が調査
スルガ銀行の不正融資を皮切りに、西京銀行では、IoTアパートの販売などを事業とする一部上場不動産会社TATERUによる残高水増し融資が発覚しました。
これを受けて金融庁は、銀行への調査を強化する方針です。
現在の金融機関の不動産担保依存は、5年前のアベノミクスによる金利の抑え込みが始まってから大きくなっています。金融機関は、1件の額が大きくて金利を稼ぎやすい不動産担保融資に頼るのは当たり前のこと。
それでも、マイナス金利を導入してまで融資を増やして市場をジャブジャブにして物価を上げたい政府のもとでは、増え続ける不動産担保融資を問題視せずに放置してきました。
一部の地銀では、社内規定の不動産担保融資比率を超えてしまったため、一時、不動産業者のプロジェクト融資を受け付けないことがあったくらいです。
実は、リーマンショックの前にも金融庁が不動産担保融資のチェックを強化するという方針をプレス発表したのをご存知ですか?
2007年の年末近くになって、金融機関の全融資に対する不動産担保融資の比率がバブル期のそれを超えるという状態になり、バブルの再来を警戒した金融庁が調査を強化すると発表したのです。
多くの方は、2008年9月のリーマンショックによって地価が下がったと感じたと思いますが、実際には2008年1月にはもう下がり始めていました。
金融機関の融資は地価を左右する蛇口のようなものなのです。
ちなみに、みるみる下がっていくのを感じた私は、2008年5月に自宅を売却して利益確定いたしました(笑)
今回の調査は、不正融資(詐欺疑惑)に基づくものですし、日銀のインフレターゲット政策下であることを考えると、融資が凍り付くほどの厳しいものにはならないと思いますが、一部の金融機関では、債務者の返済比率を融資基準に乗せるために40年ローンなどの柔軟な融資が行われており、金融機関によっては全体の不動産担保融資にまで影響がでることも考えられます。
消費増税、オリンピックと着実にターニングポイントと噂されるイベントが近づいてくる中での金融庁の調査強化。
金融機関がビビッて融資自体が細くなってしまうことなく、不適切な融資のプロセスを解明して、防止法をしっかりと構築してくれることを願いましょう。
2018年09月09日 15時38分 - 早川