シリコンバレー銀行破綻!
金利が上がって銀行が破綻??
米国金利が急激に上昇する中で銀行破綻のニュースを聞いて「なんで???」と言ったのが一番に口を突きました。
今回は、私の???と思った裏側を解説します。
私は、不動産の専門家でありながらも同時にファイナンシャルプランナーですから、不動産に限らず株式投資や債券投資などにも一定の知見を持っているつもりでした、一般的には「金利が上がる=銀行が儲かる」という方程式を知っていたので、とても驚きました。
すぐに友人の公認会計士がFBに解説シートをアップしてくれていたので、今回の破綻が金利の上昇に起因した銀行の損失と、その運営を不安に思った預金者のSNSネットワークだということを理解しました。
某TV番組でコメンテーターが「日本ではこのようなことは起きないから皆さまパニックにならないように」などと話していたのですが、果たしてホントにそうでしょうか?
シリコンバレー銀行(SVB)の損失は債権の譲渡損から始まっています。
でも、金融資産の中で債権は最も安全性が高い資産のひとつと言われています。
株式投資をする方ならお分かりだと思いますが、債権と株券とは全然違うんですよ~。
債権とは、その額面をあらかじめ決めた日時に返済してもらう権利です。
債権が安全だと言われるのは、満期の時点で債券発行体(米国債ならアメリカ合衆国のこと)が、存在してデフォルトしてなければ必ず額面が戻ってくるからです。
100円の債権を99円で買って1年後に100円返ってきたら1円の利益です。
この利益率が金利であり、利回りが高い=債権の価格は低い、という関係にあります。
金利が上がるという事は100円の債権が95円で売られるような状態ですが、それでも満期になれば額面の100円は返済されます。
インフレ退治のためにFRBが急激な利上げをしたことで債券価格が下落して、SVBは大きな(含み)損失を出したんです。
でも、仮に先の99円で買った債権の市場価格が低下して95円になったとしても、満期まで待っていれば100円が償還されるのですから、資金は減りません。
ところが、新興企業の預金者が同時期に預金を引き出したため、SVBは損してまで債券を売って現金化する必要がありました。
3月28日現在、FRB副議長は、SVBのことを「経営失敗の教科書のような事例だ」と指摘しています。
失敗とされる指摘は、ベンチャー企業にばかり融資していたから資金需要が同時に発生して、資金ショートを起こしたというもの。
もちろん、金融機関としてはその投資配分について、いかなる状態でも資金ショートしない柔軟なポートフォリオで運用すべき!ですが、ですが…。
運用面で言えば、米国債で運用しているという事は、リスクの少ない商品で運用していたという事なのに、大きな損失を出したことで増資計画を発表したらSNSを発端に取り付け騒ぎになりました。
金融機関は、預かった預金を融資に回しているのですから、こうなってしまったらキャッシュが足りなくなるのは当たり前です。
FRB副議長が指摘した部分も全くないとは言いませんが、国策によって債券価格の暴落を招いたFRBに言われたらやるせないですよね。
だって、どちらかというと安全運転で運用してたんですから。
先に触れた番組で、コメンテーターが日本では同じ問題が起きないとコメントしていましたが、私は日本でもあり得ると思っています。
日本の銀行もその資金の多くをあらゆる債権で運用しています。
そして、いずれ日銀も利上げをしなければなりません。
債権の価格は暴落し、多額の含み損を抱えます。
日本では預金保証が1000万円と米国の25万ドル(3300万円)よりもさらに少ないですから、多くの人が慌てて預金引き出しに動くことも考えられます。
最近は、特殊犯罪やマネーロンダリング防止の観点から新規口座を開くのも大変になりましたが、預金は複数の金融機関に分けて預けることも必要です。
ちなみに…、日銀が過半数の国債を保有して、金利を上げて国債が暴落すると日銀が大損しそうに思いませんか?
それは、満期償還まで持ち続ければ存しないというロジックらしいです。
日本銀行だけは絶対に負けない投資をしていてズルいですね(笑)
2023年03月30日 10時26分 - 早川